高血圧とホルモン異常の関係

高血圧の90~95%は本態性高血圧です。
何らかの疾患が原因で高血圧となる場合を二次性高血圧と呼び、高血圧全体の10%未満と考えられています。
二次性高血圧の中には、ホルモンの異常によるものもあります。
その中でも、最近特に注目されているのが、原発性アルドステロン症です。
原発性アルドステロン症は、まれな疾患だと考えられていましたが、実は高血圧の原因の5~10%を占めていることが判ってきました。
現在、高血圧の患者さんは約4500万人と言われていますが、その10%となると、450万人の患者さんが存在することになります。
ところが、2008年に日本でこの疾患だと診断された推定患者数は、1100例ほどしかいません。
このことから、大多数の原発性アルドステロン症の患者さんが見逃されていて、本態性高血圧として治療されているという可能性が高いのではないかと懸念されています。
原発性アルドステロン症は、副腎皮質から分泌されるアルドステロンというホルモンの過剰分泌が原因でおこる、ホルモン異常で、生活習慣病ではありません。
血液中のカリウムが低下して低カリウム血症となり、筋力が低下したり、脱力発作が起きて歩けなくなったり立てなくなったりします。そして、高血圧となります。
血液検査でレニンと言う項目を調べるとレニンの値が低下している事、アルドステロン濃度が上昇していることで、判断してさらに詳しい検査を行うのが一般的です。
レニンやアルドステロンは一般的な会社の健康診断や人間ドックの項目には、入っていないことが大半です。
そのため、見つけにくい疾患だと言えます。また、褐色細胞腫でも高血圧になります。
この病気では、血圧を上げるホルモンを分泌する副腎髄質に褐色細胞腫と言う良性の腫瘍ができることで高血圧となります。
この病気も、生活習慣病ではありません。
上の血圧(収縮期血圧)も下の血圧(拡張期血圧)も、両方が高くなります。
褐色細胞腫は、30歳代から50歳代に多く、男女差はありません。
この病気も健康診断や簡易人間ドックでは発見されることが少ない病気です。
高血圧と言われたら、その原因をきちんと調べることが大切です。
自己判断で、「減塩をすれば血圧は下がるだろう」と、医療機関に全く頼らずに自力で何とかしようというのは、良くありません。
また、きちんと減塩したり運動したりしているのになかなか血圧が下がらない場合は、このような疾患が隠れている可能性もあります。
ホルモン異常を疑って、検査を受けるのがベターです。

甲状腺異常による高血圧について

そのほかにも、ホルモン異常による高血圧には、甲状腺ホルモンによるものがあります。
バセドウ病(甲状腺機能亢進症)は、甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンが過剰分泌されることが原因で血圧が高くなる病気です。
圧倒的に女性に多い疾患で、男女比は男:女=1:4となっています。
バセドウ病は、自分の体を自分で攻撃してしまう自己免疫疾患の1つだと考えられていて、生活習慣病ではありません。
喉ぼとけの周りに蝶が羽を広げたようにして存在しているのが甲状腺です。
この甲状腺が腫れてくる甲状腺腫や目が飛び出てくる眼球突出、脈拍数が多くなる頻脈の3つの症状が特徴的です。
そのほかに、新陳代謝が亢進するので、びっくりするくらいの食欲が旺盛になっていてよく食べる。
良く食べるのに痩せてくる、下痢、汗をよく掻く、暑がり、筋力が低下する、足のすねがむくむ、動悸がするなどの症状が見られる場合は、要注意です。
女性の場合は、無月経や過少月経となることもあります。
また、コレステロールの数値が下がったり、手が震えることもあります。
血圧は、上の血圧が上がって下の血圧は下がるという現象が起きます。
そのため血圧の上下の差が大きくなるということが、大きな特徴です。
「上の血圧は高いけど、下は低いから大丈夫だろう」と、多くの人が軽く考えて様子を見て放置しがちです。
そして、動悸や息切れや筋力の低下などの症状が出たり、若い女性の場合は「首が腫れてるんじゃないの」と友達や会社の人から指摘されて、びっくりして受診に至ったというケースが多いです。
検査は採血をして、FT4やTSHという項目を調べたり、TSH受容体抗体やTSAbを調べます。
採血なので、ほとんど苦痛は感じないでしょう。
これらの検査項目も健康診断や人間ドックの検査項目には吐いていないことが大半です。
採血の結果でさらに、アイソトープを使った検査を受けるのが一般的です。
気になる症状がある人は、内分泌科や甲状腺外来などを受診するのがベターです。